SNSが誰でも使えるツールになって、もはやアーティストにとってSNSでの情報発信が当たり前の時代。そんな昨今、「WEB投票」型のオーディションが増えているな、と感じます。
今話題の渦中にあるMステのオーディション企画、「ミュージックステーション Mステへの階段 ~降りるためにはまず登れ!」なんかもその一つです。
少なくとも僕が専門学生の頃(2011年〜2012年)は、このタイプのオーディションは殆ど見かけませんでした。最初から審査員がジャッジして、どんどん絞っていく、一般的なオーディションの形。
それが、ここ数年で「一次審査をWEB投票に託す」オーディションに一気に数を抜かれているような気がします。
WEB投票のいいところ
自分の得票数や順位を見れる(ことが多い)
従来のオーディションとは違って、自分の音楽がどのくらいの人に支持されているのか、数字でわかるようになりました。自分の位置づけがはっきりわかります。
自分の宣伝の頑張り次第で投票数を増やせる
自分が周りの友人や知人に協力を要請することで、投票数を増やすことができます。投票は殆どの場合ワンクリックで、メルアドやSNSアカウントの認証があるサイトもありますが、手続きは簡単で無料(さすがに有料の投票は見たことない)。なので、ライブに来てもらうよりも投票を呼びかけるほうが遥かにハードルが低いです。
最終審査は審査員がいるところ
クリックが多い(=友人やファンが多い)だけではダメで、結局最後は審査員の耳に響くかどうかで決められる。ここは従来通りちゃんとした最後の砦があっていいな、と思います。
WEB投票の残念なところ
結局、ネームバリューのある人が勝ちやすい
一次審査がWEB投票になるということはすなわち、「どんなにいい音楽を作っていようが無名なら勝てない」「ネームバリューのある人が勝つ」ということとほぼ同義です。
一回のツイートで100回の得票を得ることができるアーティストと、一回のツイートで1回の得票を得ることができるアーティスト。もはや宣伝云々ではなくて、後者には勝ち目がないです。じゃあ100倍宣伝すればいいのか?というと、それはうざがられてかえってファンを手放してしまいます。
オーディション主催側のメリット
WEB投票がかしこいな、と思うところは「オーディションの盛り上がりの演出」と「ネームバリューのふるいがけ」が同時にできること。
どのアーティストもその先のゴールに向かってオーディションにエントリーするわけですから、宣伝を頑張ります。それが友人やファンに伝播して、「このオーディションめっちゃ盛り上がってるね!」という空気感が出来上がります。
ネームバリューのふるいについてはさっきも書きましたが、そもそもエントリーの時点である程度影響力のある人でないとほぼほぼ二次審査に進むのは難しいです。
投票している人がいたら思い浮かべてほしいのですが、特設サイトで他の人の曲を聴きますか?投票サイトを開くのは、単に自分の友人や応援しているアーティストに一票投じるくらいのアクションだと思います。無名なところから二次審査に進むって、相当キツいです。
オーディションを勝ち抜くと、その先のゴール(フェスなり、テレビなり、音源販売なり)に登場することになります。結果的に、一次審査のふるいをくぐった有名な人が出ることで、ファンの動員/視聴率/売上が多少なりとも伸びるわけです。
知名度と信頼度をあげる
僕自身の話をすると、(学生の頃にたくさん出ては破れたので)コンペやオーディションというものに正直疲弊していて、あまり出る元気がありません。
勘違いしないでほしいのは、当たり前の話ですが出ないよりは出るほうがチャンスがあります。元気がある人はぜひエントリーしてください。
僕を含め、その元気がない人はまずは回り道をして、地道に知名度や信頼度をあげていくことが優先でしょう。
これまた個人の活動で申し訳ないのですが、僕の場合は
- 数百人が出入りする(中規模)フェスでの演奏活動→キーマンと仲良くなる、もしくは自分で主催
- フリーBGMの配布:現在約120曲→知名度はともかく、「曲を聞いたことある人」がめちゃ増えている
- Niigata Music Postの運営→新潟×音楽の情報において第一人者になるため
などの活動をしています。
有名アーティスト・プロを目指す際に、とにかく練習をして、とにかくライブをする、というのも一つの方法ですが、僕みたいに回り道をして、音楽以外の活動をしていくのもありです。自分にあう(疲れない・無理なく継続できる)やり方を選択していきましょう。
別のやり方で知名度を上げたあとに、あらためてオーディションに出てみる。そうしたら、一次審査は楽勝で通ることができたりします。
WEB投票制オーディションについて思うこと
結局、この記事でいいたかったことは。WEB投票オーディションで疲れちゃうな、という人は、一旦休んで、別の活動をしてみましょう。仮に3,000組のエントリーがあったとしたら、このやり方があっているアーティストってたぶん60組くらいです。数字はめちゃくちゃ憶測ですけど、2%で見てみました。残りの98%の方は、実はオーディションより自分たちにあったプロへの道がどこかにある。それは、僕に聞いてもわかりませんし、周りに聞いてもわかりません。自分たちでたくさんのやり方を試しては、合わないものはやめていき、続けられそうなものを続ける、それしか言えません。
なんか書いてたら熱くなってきてしまいました。今日はこのへんで。